ご挨拶

ご挨拶

遠山茂樹（名誉会長）

　そろそろ50に手がさしかかろうという年齢になれば、それなりに旨かったと想えるラーメン屋もいくつかあるが、なかでも＜山ちゃん＞のラーメンは絶品だ。東京は二子玉川にある玉川高島屋の前に、毎年冬になると「やって来る」屋台のラーメン屋、それが＜山ちゃん＞だ。即興で川柳を詠む酒好きの親爺さんと、親爺さんにとうの昔に愛想つかしている風な息子がやっていて、この親子のぶっきらぼうな掛け合いもまた絶妙なのだ。庄内に移り住むまでは二子玉川に長いこと住んでいたこともあり、＜山ちゃん＞にはよく足をはこんだものだ。
　ことに出講先の大学で二部（夜間）の講義をもっていたときなどは、帰りの電車でウトウトしながらも、頭のなかでは「山ちゃん、今日出てるかなぁ」。そう思ったら最後。もう足も気持ちも＜山ちゃん＞に向いている。夕方、講義の前に食事を済ませているにもかかわらず、である。そんなときは二子の駅に着く前に、軽く「普通のやつ」で、と心に決めて電車を降りる。それでなくても、体重が増えてどうしようもないのだ。本来なら「普通のやつ」でも、多いくらいだ。いや、それを言ったら食べないのが一番というのは、重々承知済み。そんなことくらいでは、＜山ちゃん＞の'味惑'にはかてない。はやる気持ちを抑えてノレンをくぐり、湯気で曇った眼鏡をふきながら、さぁ注文。
　「えーと、チャーシュー。アッ、味付け卵も入れてもらおうかなぁ」。
　寸前まで「普通のやつ」と決めていたはずなのに、いざ注文となるといつもこうなのだ。揚げ句のはてには、「大盛りで」などとつい口がすべってしまうのだから始末におけない。
　何年か前のこと、書店で何気なしに週刊誌を立ち読みしていたら、＜山ちゃん＞のラーメンが写真入りで紹介されていた。＜山ちゃん＞は、全国区になった。「山ちゃん、週刊誌に出てたね。見たよ」。なじみの客にそう声をかけられても、親爺さんは気のきいた返事をするわけでもなく、ただ照れ笑いを浮かべながらコップ酒をあおるだけ。そんな親爺さんに似て、＜山ちゃん＞のラーメンには気取りがない。
　何事につけ、私は気取りのないものが好きである。庄内の地でも、気取りのないラーメンや人にめぐり会い、「後味のよい」ラーメン・ライフをおくりたいと思っている。

（2003年1月9日記）

西口宏美（事務局）

　前任校の所在する、九州は「火の国」熊本県の玉名市では知る人ぞ知る玉名ラーメンを食することができる。もちろん九州といえば豚骨スープの博多ラーメンが有名である。替え玉、紅生姜、屋台･･･。博多ラーメンというと、どこか華やかなイメージが連想される。しかしながらである。この玉名ラーメンにも、博多ラーメンには負けない＜いや、勝っていると私は思っている＞特徴（否、特長）が存在するのである。その1つは、厚さ2mmはあろうかという豚骨から湧き出るギトギトな「油膜」である。高温多湿を誇る熊本の夏においてはもちろんのこと，真冬でも麺を食べ終わるころになっても一向にスープ温を下げない強力な保温効果があるのだ。だから，最初から最後までおいしいままの麺とスープの調和を愉しむことができるのである。もう1つが，にんにくチップで，これはにんにくのスライスを油で揚げたもの。香ばしいにおいとサクサクした食感は玉名ラーメンには欠かせない名脇役である。もし機会があればぜひこの玉名ラーメンを食していただきたい。ラーメン感が一変し、その虜になること請け合いである。
　さて、平成14年4月より東北公益文科大学にお世話になることになった。ここ酒田にも、「魚だし・細めん・さっぱり味」の3拍子そろった酒田ラーメンがあると聞いている。南の国の「玉名ラーメン」と北の国「酒田ラーメン」の食べ比べができ、ラーメン好きの私にとっては、至福の一言に尽きる。これからも公益学の啓蒙とともに、ラーメン文化の啓蒙にも努めたいと思っている。

（2003年1月29日記）

吉田貴信（第1号会員）

　東北の北部に住んでいたので、庄内は少し暖かいなぁ～、なんて思っているが、なんだかんだいって、もう冬だ。そんな時期に、よく食べていたのが、南部ラーメンだ。南部鉄器(鉄鍋)を丼の代わりに使い、その中には、コシのある太い麺、擦りおろしたニンニク、ジューシーな豚肉、火を通したモヤシが入っているのが、特徴になっている。
　習慣とは恐ろしいもので、実家に帰省する度に、フラフラと、この店によってしまう。食べ終わった後には、必ず汗をかくだろう。にもかかわらず、冬にしか食べない、というわけではなく、非常に暑い夏の最中にまで食べに行ってしまうのだから、もう重症だ。
　そんな、僕のお勧めの組み合わせは、ラーメン・餃子・ライス・漬け物。コレ。しかし、これを頼むと、夏目漱石さんが、1人いなくなってしまう。満腹と経済的損失の、諸刃の剣。1人暮しにはお勧めできない。
　そんなわけで、食事は1人でするよりも、みんなでした方が楽しいのではないかと、そう思って今回、西口先生にお願いした。今は、春季休業中なので活動できませんが、春からはまた活動する予定だ。でも、食べてばっかりだと健康に良くないので、運動もする必要もあるんだなぁ～。まあ、いずれ会員は、不定期に募集ってことで。

（2003年2月4日記）

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